教訓。一人でやるんだという自覚を持たなければいけない。

私の「事務所」は築地にある。

厳密に言うと、築地にある某プロダクションのオフィスの中に、デスクを一つ借りている。

はるか昔新入社員の頃に勤務していたオフィスがあったビルの隣のビルである。原点に戻ったような気がする。再出発の場所にはふさわしいと感じている。

机一つから始める。これもシンプルでいいと思う。

この机の上からおもしろい企画をこれからどんどん生み出すのだ。

デスクの隣やまわりには居候先プロダクションのスタッフたちがいて忙しく仕事をしている。

彼らとは朝の挨拶をしたり、冗談を言い合ったり、昼飯をいっしょに食いに行ったり、たまには飲みに行ったりもしている。

まるで会社にいたころの続きのようだと、言えば言える。

これが自分一人きりのオフィスだと、きっと時にはさびしくなることもあるだろう。

先日あるフリーの友人と話をしたときに、

「そういう環境うらやましいです」

と言われた。

彼は自宅のマンションを事務所にしており、独身なので、寝るときも、食事するときも、仕事をするときもいつも一人きりだという。

話し相手がいないのはもちろんだが、いつ仕事を始めてもいいし、いつ昼飯にしてもいいというのは、けっこうつらいのだという。

そう言われてみると、彼とくらべて私は恵まれているのかもしれない。

しかしこうした環境に甘えてはいけないのだと思う。

机を並べているプロダクションの人たちは私の同僚ではない。

私は一人で事業をやっているのだ。

勘違いしてはいけない。

 

長年続けた会社員生活のためについつい、誰かがそばにいると寄りかかってしまいそうになる。

情けないが自分にはそういう弱さがある。

一人でやるという自覚を持て。